知らないと危険な著作権 勝手にコピーできない 勝手に改変できないなどの複数の権利が

著作権は 「権利の束」 と言われるように様々な権利が集まっています。

とかく、著作権というと、”コピーを禁止する(コピーする権利)”と考えられがちです(以前は、私もそうでした)。しかし、これは著作権のほんの一部で、下記の(2)の著作権(著作財産権)中の”複製権”が該当します。

 

なお、著作権は、大きく、以下の4つに分けられます。

【著作権】

  (1) 著作者人格権    ・・・著作者の人格的な利益を保護する権利
  (2) 著作権(著作財産権)・・・著作者の財産的な利益を保護する権利
  (3) 実演家人格権・・・実演家の人格的な利益を保護する権利
  (4) 著作隣接権 ・・・実演家、レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者の
財産的な利益を保護する権利


(1)、(2)は著作者の権利(著作権)

(3)、(4)は著作物を伝達する実演家等の権利です。


以下に、(1)~(4)の内容を示しますが、まあ、「たくさんの権利がありますね~」というイメージを持ってもらったら良いと思います。

なお、関連する権利として、肖像権(しょうぞうけん)とパブリシティ権があります。詳しくは最後の方で説明します。

なお、権利の内容も変化します。例えば、上映権が規定された当初、「上映」というのはもっぱら、劇場用映画をスクリーンに映写することをさしており、文書や写真は上映の対象外でした。

しかし、1999(平成11)年の法改正により上映の概念が拡大され、映画著作物以外の著作物を映写することも上映に該当することとなりました。そのため、上映にも劇場用映画だけではなく、文書や写真をスクリーンに映し出すことが含まれます。

著作権法ほど、技術の進歩などの世の中の変化により変化する法律はないと思います。それほど、著作権法は、私達の生活に密接に関係しています。

 

著作権法には、「私的使用の範囲ならば利用可能」という原則があり、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」であれば、他人が作成したものを勝手にコピーしたり利用可能です。

但し、インターネットや会社などの”公の場”は、”私的使用の範囲”を越え、他人が作成した文章・画像などを勝手にコピーして利用することはできません。

インターネットでは、たとえ、個人による情報発信でも、その情報は世界中に発信され、公の場に発信されるので、他人が作成したもの(文章・画像など)を勝手に発信すると著作権違反になります。


■ 著作権の様々な権利

 

インターネットの情報発信で、特に重要な権利は、以下の「複製権」と「公衆送信権」です。

まず、「複製権」ですが、「コピーを作成する権利」で、著作権の中で代表的な権利です。他人が作った文章や画像をコピーし、自分のブログやホームページなどに勝手に利用すると、複製権を侵害し法律違反になります。

次に、重要な権利は、「公衆送信権」です。作成したものを、ホームページ・ブログ・SNS等で公に公開する権利が「公衆送信権」になります。

以上のことから、他人が作成したものを無断でコピーし、インターネット上に公開すると、「複製権」及び「公衆送信権」の2つを侵害するということになります。


(1) 著作者人格権・・・著作者の人格的な利益

①公表権  ・・・公表する権利・その作品自体を公表するかどうかの決定が行える権利
②氏名表示権・・・実名、ペンネーム・芸名を表示する、又は表示しないの決定が行える権利
③同一性保持権・・・著作物の内容及びその件名の同一性を保持する権利


(2) 著作権(著作財産権)・・・著作者の財産的な利益

①複製権・・・複製する権利 *簡単にいうとコピーする権利ですね
②上演権・演奏権・・・公衆に上演し、又は演奏する権利
③上映権・・・公に上映する権利
④公衆送信権等・・・公衆送信を行う権利 (注1)
⑤口述権・・・公に口述する権利
⑥展示権・・・公に展示する権利(美術の著作物又は未発行の写真の原作品)
⑦頒布権・・・映画の著作物の複製物を頒布する権利(映画の譲渡権及び貸与権)
⑧譲渡権・・・原作品又は複製物を譲渡により公衆に提供する権利(映画を除く)
⑩貸与権・・・著作物の複製物を貸与により公衆に提供する権利(映画を除く)
⑪翻訳権・翻案権等・・・翻訳し、編曲、変形、脚色、映画化などの翻案する権利

(注1)公衆送信権は以下の4つに分類されます
    ①放送 ②有線放送 ③自動公衆送信 ④その他の公衆送信
   なお、インターネットのホームページで情報発信するのは③自動公衆送信になります。


(3) 実演家人格権・・・実演家の人格的な利益

①氏名表示権・・・実名、ペンネーム・芸名を表示する、又は表示しないの決定が行える権利
②同一性保持権・・・実演の同一性を保持する権利


(4) 著作隣接権 ・・・実演家、レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者の財産的な利益を保護する権利

ややこしいことに、実演家、レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者で保有する権利が異なります。これは、なかなか面倒です。

・実演家の財産権
 ①録音権・録画権・・・実演を録音・録画する権利
 ②放送権・有線放送権・・・実演を放送・有線放送する権利
 ③送信可能化権・・・送信可能化する権利
 ④譲渡権・・・実演の録音物・録画物の譲渡により公衆に提供する権利
 ⑤貸与権(レコード発売後1年間)・・・実演が録音されているレコードの貸与により公衆に提供する権利

・レコード製作者等の権利
 ①複製権・・・レコードを複製する権利
 ②送信可能化権・・・レコードを送信可能化する権利
 ③譲渡権・・・レコードをその複製物の譲渡により公衆に提供する権利
 ④貸与権・・・レコードをその複製物の貸与により公衆に提供する権利

・放送事業者の権利
 ①複製権・・・放送を録音・録画し、又は写真などにより複製する権利
 ②再放送権・有線放送権・・・再放送し又は有線放送する権利
 ③送信可能化権・・・放送を送信可能化する権利
 ④伝達権・・・影像を拡大する特別の装置を用いて放送を公に伝達する権利

・有線放送事業者の権利
 ①複製権・・・有線放送を録音・録画し、又は写真などにより複製する権利
 ②放送権・再有線放送権・・・放送し又は再有線放送する権利
 ③送信可能化権・・・有線放送を送信可能化する権利
 ④伝達権・・・影像を拡大する特別の装置を用いて有線放送を公に伝達する権利

 

■ 著作権に関連する権利

■  肖像権(しょうぞうけん)とパブリシティ権

 

写真や名前を勝手に公表されない権利です。

 

他人が写った写真を公開すると、”肖像権(しょうぞうけん)侵害”、有名人の場合は”パブリシティ権侵害”にもなります。

他人が写った写真や有名人が写った写真を勝手に公開すると、これらの権利を侵害することになるので、要注意です。

”肖像権”と”パブリシティ権”は著作権ではないのに、著作権の話でよく出てくる言葉です。

著作権法などの法律で規定されていませんが、

「人は私生活上の容姿を無断で撮影されたり、写真を勝手に公表されない権利を持っている」

として、判例上も古くから認められているものです。

 

簡単に言うと次のようになります。

 

”肖像権”は、無断で撮影させない、撮影された写真を勝手に公表させない権利

 

”パブリシティー権”は、著名人の写真や氏名は経済的価値があり勝手に利用させない権利

 

私はデジカメで花の写真を撮るのが好きですが、花の写真を撮るときに「写真の中に出来るだけ他の人が写らない」ように気をつけています。

肖像権(しょうぞうけん)

「肖像権」というのは誰でも持っている権利で、むやみに自分の写真や名前などを公表されて、嫌な思いをしないための権利です。

各個人は、人格的権利の一貫として、自分の顔写真や肖像画(似顔絵も含む)は、自分の知らないところで勝手に使われないようにする権利を持っているということです。

従って、他人を映した写真、肖像画の類をWebページ等に掲載する場合には、映っている本人の許諾が必要です。この肖像権は、どこの法律にも出てきませんが、著作権法上の問題として良く議論されます。

 

パブリシティ権

さらに、タレント等の有名人の場合、顔写真や名前を使って利益を得ることができるので、肖像権以外に氏名・肖像を利用する権利、パブリシティ権というものがあります。

パブリシティ権は、有名人の氏名・肖像は、コマーシャル等に利用することで経済的な利益を上げることができるので、それを保護しようというものです。

そのため、有名人の写真を無断でホームページ・ブログ・SNS等に使用することは、パブリシティ権の侵害となるので、基本的に有名人の写真は載せてはいけません。

有名人の写真を利用する場合には、写真の著作権者のみならず、写真の被写体である有名人の承諾を得なければなりません。