SNS、Twitter、ブログに、他の人が作成した文書・画像などを投稿すると、”著作権違反”になるので注意が必要です。最悪の場合、訴えられます。
作成した画像、文章、音楽データ等は、作成者(著作権者)のもので、「著作権法」で守られていますので、勝手に利用できません。
ここでは、インターネットで投稿する際に注意すべきことをまとめましたので、参考にしてください。
なお、情報を発信する場合、「不特定の人」又は「特定多数の人」に発信する場合は著作権を考慮する必要があります。
①ホームページ、ブログ、Twitterの情報発信は「不特定の人」になり著作権が関与します。
②FacebookなどのSNSや、メーリングリストなども「特定多数の人」になり著作権が関与します。
③LINEなどの閉鎖的なSNSの場合も、1対1のやり取りや数名の範囲であれば問題ありませんが、それを超える場合は著作権が関与すると考えた方が良い。
そのため、新聞や雑誌、インターネットに公開されている記事を勝手に利用し、ホームページ、ブログ、Twitter、 FacebookなどのSNSに、自分の文書のように投稿するのは、当然”著作権違反”になるので注意下さい。
また、他人が作成した画像も勝手に利用できません。フリー画像であれば利用できますが、中には、“利用時には画像の大きさを変更しないで”という場合もあるので、画像利用時には「利用時の注意事項」を確認下さい。
また、著作権以外に気をつけるものに「肖像権(しょうぞうけん)」、「パブリシティ権」というのがあり、他人が写った写真を勝手に公開したり、タレント等の有名人が写った写真を公開したりすることは禁じられています。
他人が作成した文書や画像を、SNS・ブログ・ホームページに勝手に利用し、著作権を侵害した場合(著作権法に違反した場合)、最悪「10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金」のように重い罰則が科せられます。
なお、他人の文書を全く利用できないと言うわけではなく、自分の文書が正で、それを補う形で他人の文書を利用する場合、つまり”引用(いんよう)”の場合は、他人の文書を利用しても良いということになっています。ただし、引用する場合、守るべき事項が何点かあり、注意が必要です。これについては後で説明します。
■他人の文書を勝手に利用すると、「複製権」と「自動公衆送信権」を侵害!
著作権の中で、インターネットで特に重要な権利は、「複製権(コピーする権利)」と「自動公衆送信権(情報発信・公開する権利)」です。
「複製権」は、「著作物のコピーを作成する権利」です。この権利が作成者に与えられています。その為、他人の文書・画像などを勝手に利用すると、権利を侵害することになります。
次に、重要な権利は、「自動公衆送信権」で、「作成したものを情報発信・公開する権利」、つまり、作成したものを、ホームページ・ブログ・SNSで公衆に情報発信する権利です。
■他人が作成した文章は、ある条件を守れば利用することが可能(引用)
他人が作成した文章は、ある条件を守れば、引用し利用することが可能です。自分のオリジナルの文章が多くを占め、自分の文章の説明や補強として、他人の文章を利用する(引いてくる)というのが引用です。以下に引用時の注意事項を示します。
(1) 主従関係
自分の著作が主で、引用される著作が従であること。量的にも質的にも自分の著作が主であることが必要。
(2) 必然性があり最小限度
引用が自分の著作に不可欠であり、かつ必要最小限度の引用であること。
(3) 明瞭区分性
かぎ括弧をつけるなど,「自分の著作物」と「引用部分」とを明確に区別すること。
(4) 出所、著作者名の明記
引用する著作物の書名、著作者名などを明記し、出所が明確に分かること。
①本からの引用の場合・・・“『書名』著者名、発行所名、発行年、引用ページ”のように記述
②ホームページからの引用の場合・・・“ホームページ名(制作者)、URL”を記述する。
(5) 引用部分の同一性保持権
引用する場合に、原文そのままで引用すること。なお、途中を省略する場合は“(中略)”などと明記する。
■画像を利用する場合は”利用時の注意事項”を確認下さい!
他人が作成した画像データを勝手に利用するのは著作権侵害になるので、注意が必要です。なお、”画像利用はフリー”と明言している場合は利用してよいですが、この場合、”利用時の注意事項”を充分確認することが必要です。
例えば、”利用時の注意事項”に、「画像はフリーですが、そのまま使うことを条件にフリーにしています。画像の大きさや縦横の比率を変えて利用しないで下さい」という注意書きがある場合があります。
この場合、画像を利用するときは、元の画像のままで利用しないといけません。
■友人が写った写真でも公開する場合は本人の許可が必要です!
「肖像権(しょうぞうけん)」というのは、むやみに自分の写真や名前などを公表されて、嫌な思いをしないための権利です。
各個人は、自分の顔写真や肖像画(似顔絵も含む)を、勝手に使われないようにする権利を持っています。
従って、他人を映した写真、肖像画の類をWebページ等に掲載する場合には、映っている本人の許可が必要です。街を歩いている人を撮影した場合も、その人の許可なく勝手に写真を掲載できません。
親しい友人であっても、本人の了解をとるのがエチケットです。この肖像権は、どこの法律にも出てきませんが、著作権法上の問題として良く議論されます。
《補足》他人が写った写真でも肖像権の侵害にならないケース
パレード、祭り、政治家の演説、その他イベントなど公の場所での公の行動を撮影した場合は、明らかに公開されるとわかった上で相手が写っている場合にあたり、肖像権の侵害になりません。
ただし、パレード、祭りで、たまたま見かけた友人や芸能人の写真を、”こんな人がいた!”といって公開すると、公開されるとわかっていないので、プライバシーの問題もあり、肖像権・パブリシティ権の侵害になるので注意が必要です。
なお、以下の場合も、肖像権の侵害になりません。
①被写体の同意がある
②人物の特定ができない
③被写体の社会生活のマイナス要因にならない
詳しくは以下を参照下さい。
参考:
肖像権の侵害になるケースとならないケース | リモートワーク - anywher
https://anywher.net/2015/10/shouzou/
■有名人が写った写真を公開すると「パブリシティ権違反」になるので注意!
タレント等の有名人の場合、顔写真や名前を使って利益を得ることができるので、肖像権以外に氏名・肖像を利用する権利、パブリシティ権というものがあります。
パブリシティ権は、有名人の氏名・肖像は、コマーシャル等に利用することで経済的な利益を上げることができるので、それを保護しようというものです。
そのため、有名人の写真を無断でSNSなどに使用することは、パブリシティ権の侵害となるので、基本的に有名人の写真は載せてはいけません。
■キャラクターの画像を利用するのは著作権違反です!
キャラクターの画像は著作権上の問題があるので、ホームページ・ブログ・SNS等には基本的には掲載できません。マンガなどからコピーしたものをそのまま使った場合は、明らかな複製ですから、無断で利用できません。
《補足》写り込みの場合はOK(著作権30条、46条)
写真撮影などの際に入り込んでしまったものは、著作物は利用できます。
例えば、テーマパークに行った時の家族の写真に同時にキャラクターが写った場合、写真を撮ったらTシャツにキャラクターがプリントされていた場合などのように、写り込んだ場合は著作権を侵害しません。
なお、OKの条件は以下になり、写り込む著作物の種類は問いません。ただし、あくまでも軽微な写り込みが条件です。
①写真撮影・録音・録画で著作物を創作する際に
②対象物から分離困難なため入り込んでしまう
③軽微な構成物であること
■歌の歌詞(かし)を公開しても著作権侵害になるので注意!
歌の歌詞も著作権で保護されているので、SNS・ブログ投稿時に、歌詞をそのままのせないように注意下さい。
歌詞には著作権があり、著作権管理団体の許可が必要です。(有名な一句くらいを引用することは大丈夫でしょうが)。
楽曲の歌詞の著作権はJASRAC(日本音楽著作権協会)によって管理されています。歌詞を利用する場合は、JASRACの許可が必要です。
■CD等の音楽をインターネットに公開するのは違法
CDなどに収録された曲をデジタル化(MP3等)して公開しているホームページがありますが、これは著作権を侵害した、違法な行為です。
自分の私的な範囲であれば、CDなどの音楽をデジタル化(MP3等)して利用するのはOKですが、これをインターネット上に公開するのは、私的な範囲を超え、違法になります。
■レシピのネット転載、著作権上はOK、しかし、モラルの問題が有り
アイディアは著作権では保護されません。代表的な例が料理のレシピです。
料理の調理法は材料や手順をまとめただけであって、著作権の保護の要件である「作者の思想又は感情を創作的に表現したもので、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」には該当しません。
そのため、料理のレシピを自分のブログなどに転載するのは著作権上はOKで、問題ありません。ただし、レシピに添えられた料理の写真は、無断で転載すると著作権侵害になるので注意が必要です。
なお、苦労して考えたレシピを、あたかも自分が考えたように勝手に公開されると、気持ちが良いものではありませんし、モラルの問題もあります。他人のレシピを公開する場合は、”どこから入手した誰のレシピ”か、明記すると良いですね。
《参考》 著作権違反時の罰則
著作権法に違反した場合、以下のように重い罰則が科せられますので、十分注意しなければなりません。
(1) 著作権・出版権・著作隣接権の侵害・・・10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金
(2) 著作者人格権・実演家人格権の侵害・・・5年以下の懲役又は500万円以下の罰金
なお、著作権には「両罰規定(124条1項1号)」があり、従業員が著作権法に規定する犯罪を行った場合には、行為者本人だけでなく、その使用者である法人も共に罰せられます。法人に対する罰金は引き上げられ、3億円以下の罰金と巨額です。