SNS、ブログなどで情報発信する場合、多くの人に公開するため、著作権が絡んできます。
勝手に他人の文章・画像などを利用したり、
他人が写った写真を投稿すると、
作った人の権利を守る「著作権」や
勝手に写真を公開されない権利「肖像権」を
侵害するので要注意です。
子供の世界にもSNS活用は普及しており、学校や家庭で、著作権・肖像権などについて話し合うことも重要ですね。
NTTドコモのモバイル社会研究所は2022年4月4日、小中学生のSNSの利用状況についての調査結果を発表。小学生低学年では34%、高学年では51%、中学生では90%になってます。使用しているSNSサービスは、LINEが多いものの、小学生低学年では「TikTok」が上昇し、中学生は「TikTok」「Twitter」「Instagram」については上昇傾向。
なお、著作権法は”インターネット時代の法律”と言われます。インターネットで情報発信をするには、ある程度の著作権の知識が必要になります。
そこで、私のこれまでの著作権の経験と、ビジネス著作権検定と知的財産管理技能士で得た知識で、SNSなどへの投稿で注意したいことについて紹介します。ぜひ、学校や家庭で活用下さい。
なお、他人のコンテンツ(文書、画像)を勝手に使うと、著作権侵害になり、懲役または多額の罰金を支払うことになりますので、くれぐれも注意ください。
(1) 著作権・出版権・著作隣接権の侵害・・・10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金
(2) 著作者人格権・実演家人格権の侵害・・・5年以下の懲役又は500万円以下の罰金
もし、従業員等が著作権侵害行為をしたときは、行為者のほか、当該法人も3億円以下の罰金に処せられますので(両罰規定)、注意が必要です。
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■ 他人の文書をコピーして利用すると著作権(複製権)の侵害に
■ コピーして利用する場合は”引用条件”を守り”引用”する
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他人の文章を ”そのまま利用すること(コピー)” は『複製』(著作権法21条)にあたり、作成した人が持っている権利で、勝手にコピーすると複製権の侵害になります。
なお、複製とは、著作物をコピーする権利ですが、完全に同一である場合のみならず、実質的同一である場合も該当しますので注意が必要です。
自分のオリジナルの文章が多くを占め、自分の文章の説明や補強として、他人の文章を利用する(引いてくる)というのが”引用”です。
他人の文章をコピーして利用したい場合は、必ず以下の”引用の条件”を守って下さい。
[引用の条件]
1) 主従関係
自分の著作が主で、引用される著作が従であること。量的にも質的にも自分の著作が主であることが必要。
(2) 必然性があり最小限度
引用が自分の著作に不可欠であり、かつ必要最小限度の引用であること。
(3) 明瞭区分性
かぎ括弧をつけるなど,「自分の著作物」と「引用部分」とを明確に区別すること。
(4) 出所、著作者名の明記
引用する著作物の書名、著作者名などを明記し、出所が明確に分かること。
例)本からの引用の場合・・・“『書名』著者名、発行所名、発行年、引用ページ”のように記述
ホームページからの引用の場合・・・“URL、ホームページ名(制作者)”を記述する。
(5) 引用部分は変更しないこと
引用する場合に、原文そのままで引用すること。なお、途中を省略する場合は“(中略)”などと明記する。
作成した人には、自分の著作物を、自分の意に反して、勝手に変更されない権利(同一性保持権)がありますので、もし、引用した際に、勝手に変更すると、この同一性保持権を侵害する可能性があります。
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■ 他人の文章を要約すると著作権(翻案権)侵害に
■ 要約して利用したい場合の注意点とは
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文章を”要約すること”は通常『翻案』(著作権法27条)にあたり、原則的に著作権者の許可が必要です。
なお、「要約」が「単なる事実」であれば、著作物性はないとされています。したがって、元記事から事実部分だけを抽出して利用した場合には、著作権侵害にはなりません。
また、紹介程度の短い要約は、元の著作物に表現されている著作者の思想又は感情が感得されるものではないので、翻案にはあたらないとされており、著作権侵害にはなりません。
一般的に、原作品の内容が、ほぼつかめてしまい、原作品に触れなくてもすむような形でダイジェストしたものは翻案にあたります。
作品自体の存在を知らせる目的で作られたごく短い要旨等の抜き書きは翻案には当たらず、著作権を侵害しないと言われています。
要約する場合は、この事をよく理解し要約してください。
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■ 画像を勝手に利用すると著作権侵害にも、”利用時の注意事項”も大事
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他人が作成した画像データを、インターネット公開の記事の中に、アップロードして利用するのは著作権侵害になります。
なお、”画像利用はフリー”と明言している場合は利用してよいですが、この場合も、”利用時の注意事項”を充分確認することが必要です。
例えば、”利用時の注意事項”に、「個人的な利用はOKで商用はNG」とか、「画像の大きさや縦横の比率を変えて利用しないで下さい」という注意書きがある場合があります。
なお、無料で使える画像やイラストの探し方を、以下のブログで紹介しています。参考にしてください。
ブログなどに使える”フリー画像”が簡単に見つかるサイト紹介
https://netyougo.hatenablog.com/entry/2021/12/10/102727
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■ 友人が写った写真でも公開する場合、本人の許可が必要です!
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「肖像権(しょうぞうけん)」というのは、むやみに自分の写真や名前などを公表されて、嫌な思いをしないための権利です。
各個人は、自分の顔写真や肖像画(似顔絵も含む)を、勝手に使われないようにする権利を持っています。
従って、原則は他人が写った写真を公開する場合は、映っている本人の許可が必要です。街を歩いている人を撮影した場合も、その人の許可なく勝手に写真を掲載できません。
(注)私は花の写真を撮るのが好きですが、なるべく他人が写らないよう、写っていてもボケてはっきり分からないように注意しています。
親しい友人であっても、写った写真を公開する場合、本人の了解をとるのがエチケットです。
この肖像権は、どこの法律にも出てきませんが、著作権法上の問題として良く議論されます。
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■ 有名人が写った写真を公開すると「パブリシティ権違反」になるので注意!
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タレント等の有名人の場合、顔写真や名前を使って利益を得ることができるので、肖像権以外に氏名・肖像を利用する権利、パブリシティ権というものがあります。
パブリシティ権は、有名人の氏名・肖像は、コマーシャル等に利用することで経済的な利益を上げることができるので、それを保護しようというものです。
そのため、有名人の写真を無断で使用することは、パブリシティ権の侵害となるので、基本的に有名人の写真は載せてはいけません。
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■ キャラクターの画像を利用するのは著作権違反です!
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キャラクターの画像は著作権上の問題があるので、ホームページ・ブログ・SNS等には基本的には掲載できません。
マンガなどからコピーしたものをそのまま使った場合は、明らかな複製ですから、無断で利用できません。
(注)以前はキャラクターもののTシャツを着た人をカメラで写して写真に撮ると、それはそのキャラクターの著作権侵害行為でした。嘘のような本当の話。
なお、その後、著作権が改正され「写り込み規定」が適用されるようになりました。
たとえば、キャラクターもののTシャツを着て写真を撮り、その姿を自分のSNSにアップすることは許されます。
ただし、Tシャツのキャラクター部分のみの画像をパソコン操作でキャプチャーしてSNSにアップすることは、著作権侵害の可能性が高くなります。
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■ 歌の歌詞を公開しても著作権侵害になるので注意!
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歌の歌詞も著作権で保護されているので、インターネット公開記事に、歌詞をそのままのせないように注意下さい。
歌詞には著作権があり、著作権管理団体の許可が必要です。(有名な一句くらいを引用することは大丈夫でしょうが)。
楽曲の歌詞の著作権はJASRAC(日本音楽著作権協会)によって管理されています。歌詞を利用する場合は、JASRACの許可が必要です。
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■ 画像の直リンク時の注意事項
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画像の直リンクは著作権法上は”原則”問題となりませんが、必ず、出典のサイト名を記載してください。
もし、直リンクであっても、自分が著作権者であると表示したような場合は「著作者人格権侵害」の問題が発生しますので、注意ください。
なお、不正に自らの利益を図る目的があったような場合には、著作権侵害とならないとしても一般不法行為となる可能性がありますので、くれぐれも注意が必要です。
詳しくは、以下の記事を参考にして下さい。
参考:
MERYやWELQ問題を受けて押さえておきたい、画像直リンクと画像無断使用の違法性
| STORIA法律事務所ブログ
http://storialaw.jp/blog/2388
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■ 《補足》 複製(権)、翻案(権)とは何か?
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①文章を ”そのまま利用すること(コピー)” は『複製』(著作権法21条)
②文章を ”要約すること” は通常『翻案』(著作権法27条)
複製や翻案をする権利は、それぞれ「複製権」、「翻案権」として、コンテンツ(文書、画像)を作った著作者が持っており、これを侵害すると著作権侵害になります。
もとからある著作物に乗っかって、そのままコピーすること(複製)や、新しい物を作ること(翻案)は、原則的に著作権者の許可が必要だと考えてください。
なお、複製権とは、著作物を複製(コピー)する権利ですが、完全に同一である場合のみならず、実質的同一である場合も該当しますので注意が必要です。
文章を「要約」することは「翻案」に該当しますが、「要約」といっても、それが「単なる事実」であれば、著作物性はないとされています。
したがって、元記事から事実部分だけを抽出して利用した場合には、著作権侵害にはなりません。
また、紹介程度の短い要約は、元の著作物に表現されれている著作者の思想又は感情が感得されるものではないので、翻案にはあたらないとされています。